TDMの基礎知識
薬物血中濃度測定法
血中濃度測定に広く用いられている免疫学的測定法の市販キットは、簡便・迅速かつ効率的に測定できる方法である。しかし、TDM対象の抗不整脈薬のうち、約半数の薬の血中濃度測定は、市販キットがないため、HPLCなどの分離分析法によって行う必要がある。一方、測定装置をもたない医療機関でも民間の検査センターを利用して血中濃度測定を行うことが可能である。検査センターによる測定では結果が得られるまでの時間の短縮が課題であったが、翌日の昼頃までに結果を FAX で報告するサービスを提供している検査センターもあり、投与法の変更に利用できる迅速性が得られる。
- 免疫学的測定法
測定薬剤に対する抗体を使用した測定法である。EMITなど汎用機に適応できる測定法と、FPIA、ELISAなどのように専用機が必要な測定法がある。特殊な技術を必要としない簡便・迅速な測定法であり、TDMの普及に果たす役割は大きい。一方、生体内物質、代謝物、併用薬剤などとの抗体の交差反応性に注意する必要がある。
- 1)放射性免疫測定法(RIA)
放射性廃棄物が出るため、現在ではあまり使用されなくなった。
- 2)非放射性免疫測定法
- 2-1)酵素免疫測定法(EIA)
- 各社が試薬キットを提供している。
- 2-2)蛍光偏光免疫測定法(FPIA)
- 血中濃度測定用の試薬キットの種類が多い。
- 2-3)ホモジニアスEIA法(EMIT法など)
- 臨床検査用の汎用機器を用いて血中濃度の測定を行うことができる。
- 2-4)競合蛍光免疫測定法(CFIA)
- 2-5)化学発光免疫測定法(CLIA)
- FPIAの後継測定法として、薬物濃度測定用試薬の開発が進んでいる。
- 2-6)ヘテロジニアスEIA法(ELISA)
- 2-7)イムノクロマト法
- 2-8)ラテックス凝集阻害法(PENTINA)
- 分離分析法
1)ガスクロマトグラフィー
気化させる必要があるため、測定できる薬は限られるが、専用分析カラムによる複数の抗てんかん薬の同時定量法が利用できる。
2)高速液体クロマトグラフィー(HPLC法)
汎用性が高い分析法である。市販キットが利用できない薬の血中濃度測定に利用されている。検体に由来する妨害ピークを除去するために、有機溶媒抽出または固相カラム抽出など、前処理を行うことが必要である。一般に測定には、可視紫外部検出器が用いられるが、薬によっては蛍光検出器など他の検出器を用いることもある。
3)LC/MS/MS
簡単な前処理操作で、薬物血中濃度を精度良く測定できる物理化学的測定法として注目されており、免疫抑制薬の測定などに応用されている。
- その他の分析法
リチウムの血中濃度測定には以下の測定法が使用される。
1)原子吸光分析法
2)炎光法
3)電極法
4)比色法
(篠崎公一)
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